祈りのパークは観光施設か、疑問の声
東日本大震災の津波で162人が犠牲になったとされる岩手県釜石市鵜住居町の鵜住居地区防災センター跡地に整備する「鵜住居地区祈りのパーク」(仮称)について市は23日、犠牲者の家族らでつくる「同センターに関する被災者遺族の連絡会」(三浦芳男会長)に概要を説明した。参加者からは「観光施設ではないか」「遺族とまちづくり協議会が同意した基本構想(計画)からかけ離れている」など疑問の声が相次いだ。【中尾卓英】
同パーク(約5200平方メートル)については市の整備推進委員会が6月、地上に震災犠牲者の芳名板がある「慰霊の場」を、丘の上に防災市民憲章を記した石碑がある「祈りの場」を設けるレイアウトを決め、野田武則市長に答申した。JR鵜住居駅近くにあり、震災の記憶を後世に語り継ぐ「津波伝承施設」を併設。2019年3月の完成を目指す。
説明会は市が117人に案内したが、4人の参加にとどまった。
センターに避難した長男の妻(当時36歳)と孫(同6歳)を亡くした菊池通幸さん(70)は「近くに観光施設があると、静かに手を合わせることができない。津波の被害を後世に伝えるためにも、防災センターで亡くなった人の慰霊碑を設け、市内地区ごとに犠牲者の名前を明記するべきだ」と話した。
また、推進委に先立つ基本計画策定委員を務めた同市の仙寿院住職、芝崎恵応さん(60)は「基本構想では1カ所だったのに慰霊の場と祈りの場を別々にするなど、遺族の気持ちを軽視している。センターで多くの人が犠牲になった市の責任を果たしていると思えない」と、釜石仏教会として反対を表明した。
野田市長は「祈りのパークは、3月11日の市内の犠牲者全員を追悼し、二度と悲劇を繰り返さないという思いで次世代に教訓を伝える場にしたい。基本構想から変化したのは、遺族の思いを考えながら、よりよいものに進化していった結果」と理解を求めた。
