中国企業 NZ地下水輸出で虚偽表示か

 【シンガポール=吉村英輝】中国企業がニュージーランドで始めたミネラルウオーターの輸出事業について、表示の偽りなどについての懸念が出ている。ニュージーランドの豊かな自然をうたい文句にしているが、羊毛の洗毛に使われていた地下水を飲用水に転用した事業で、抗議の嘆願書も出されている。

 現地メディアの「スタッフ」によると、中国企業が出資する「クラウド・オーシャン・エステート」は、ニュージーランド南島のクライストチャーチにある洗毛業者の施設を買収し、現地の環境当局から今月21日、年間15億リットルの地下水を販売する許可を得た。年間の水使用料は数万円程度という。

 ペットボトルが詰められた箱には、中国語と英語で表記があり、「名高いカンタベリー地方の地下200メートルの帯水層より」と記されている。だが、取水許可が出ているのは、洗毛業者と同様に、地下約30メートルで矛盾があるという。

 また、ニュージーランド最高峰のクック山(標高3724メートル)の写真とともに「千年以上を経た」とある。だが、同山からは約100キロ離れ、主な水源は近くの川だとされる。

 この取水事業をめぐっては、地下水の水位低下の懸念などから、地域住民ら約7万人が、許可を出さない嘆願書に署名。また、危険労務や不法投棄の疑いで、関係当局が調査している。

 クラウド社の馮亮所長は「荒廃し使われていなかった洗毛施設を300万ニュージーランドドル(約2億4千万円)かけて改装した。200人以上の雇用を生み出す」とコメントしている。

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