SUVも販売鈍化、米自動車市場に暗雲

 米国では自動車販売の伸びが失速し、ファミリーセダンのブームも一服する中で、自動車業界にとってクロスオーバー・スポーツタイプ多目的車(SUV)が頼みの綱となってきた。ガソリン価格の下落や全輪駆動のゆったりとしたワゴン車需要の拡大を追い風に、こうした車種の販売は極めて好調だった。

 しかし、季節的に自動車販売が盛り上がる夏も終わりに近づくにつれ、陰りが目立ち始めているようだ。SUVの在庫が積み上がる中でインセンティブ(販売奨励金)が急増しており、業界が享受してきた潤沢な利益が浸食されつつある。

 9月1日に発表される8月の米新車販売台数は、前年同月比で2%増と予想されている。だが、これは今年8月の営業日が昨年より1日多かったことが主因だ。JDパワーによると、大々的なインセンティブや新モデル投入にもかかわらず、調整ベースの小売り販売台数(フリート販売を除く)は、今年の最低水準に落ち込んだもようだ。

 米自動車市場の鈍化は今に始まった話ではない。アナリストらは7年続いた販売の伸びが失速し、販売台数は当面、年間1700万台前後で頭打ちになると予想している。ただ、クロスオーバー車の販売鈍化は、特にゼネラル・モーターズ(GM)などのメーカーにとって新たな頭痛の種となりかねない。

 GMの新型「GMCテレイン」は今夏、大きな期待を背負って発売された。GMが発売する4種類のクロスオーバーSUVの1つで、力強いデザインと洗練されたタッチスクリーン、最先端安全装置を装備し、販売増につながると期待されている。

 問題は、ほぼ全ての自動車メーカーが、人気の落ち込むセダンやクーペに代わる車種としてクロスオーバーに賭けており、消費者の選択肢が広がり、競争激化につながっていることだ。

 バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの自動車担当アナリスト、ジョン・マーフィー氏は最近のプレゼンテーションで、「自動車業界はクロスオーバー車種に偏りすぎている」との見方を示した。同氏は、米国で販売されるクロスオーバー車の種類は現在の78モデルから、2020年終盤までに110モデルに増加するとみている。

8月の米新車販売台数は、小売り販売(フリート販売除くベース)が今年最低水準に落ち込んだもよう(写真は18年型クロスオーバーSUV「GMCテレイン」) © Provided by The Wall Street Journal.

 SUV市場で長く優勢を誇ってきたGMのようなメーカーは家族向けセダンやコンパクトカーの損失を補うため、大型の高額モデルに依存してきた。しかし、業界調査サイトのエドマンズ・ドット・コムによると、今年上半期にはSUV向けのインセンティブは33%急増し、値引きやリベートは1台平均3200ドル(約35万円)に達した。

 GMにとって、今年は新たなクロスオーバー車の投入が利益の鍵となる。GMは小型SUV「シボレー・エクイノックス」や中型SUV「ビュイック・アンクレイブ」など、10年近く前に投入されたモデルの改良版を投入する。

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