米株、投資家の過剰な楽観に注意
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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米国の著名な投資家だった故ジョン・テンプルトン氏が投資において最も危険な4つの単語として「今回だけは違う(this time is different)」を挙げたことはよく知られている。
投機バブルに夢中になっている者であれば誰もがこの助言に耳を傾けるべきだが、その一方、長期投資家にとって最も注意すべき4語は「これが天井だ(this is the top)」かもしれない。
株式のようなリスク資産を買って株価が急落するのを目の当たりにすることへの恐怖には、人の思考をまひさせ、将来得られたかもしれないリターンを低下させるという影響がある。ほとんどいつでも神経質になる理由は見つかるものだが、その大多数は後で間違いだったことが分かる。
例えば2014年2月には、1928年と1929年のダウ工業株30種平均と2012年半ばから2014年初めまでのS&P500種指数の間に不気味な相関関係があることを示すチャートがウォール街に出回った。このパターンがそのまま続いていれば、直後に暴落が起きてもおかしくないはずだった。だが、その時点で売却していたら、大きなリターンの機会を逸していただろう。なにしろそれ以来、S&P500種指数のトータルリターンは56%に達しているのだ。1996年12月には米連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン議長(当時)が市場の「根拠なき熱狂」について警告したが、S&P500種指数の配当を含めた価値はその後の3年間で2倍になった。
バリュエーションのような明確なものでさえ、市場のタイミングを捉えるツールとしてはまったく役に立たない。エール大学のロバート・シラー教授のおかげで有名になり、広く使われている投資判断の尺度、「CAPEレシオ(景気循環調整後PER)」はこれまで、株式相場の急激な反転の前には高い水準を示してきた。ただ、同レシオはこの10年間のうち約半分を過去136年間の上位10%に入る高水準で推移しており、その間、米国株の価値は配当を含めると倍増してきたのだ。
現在、投資家はあまり懸念を抱いていないが、このこと自体が懸念すべきことだ。ウェルズ・ファーゴとギャラップ社が実施した投資家・退職者楽観指数を見てみると、ITバブルが弾けた2000年以来の高水準となっている。
ITバブルがピークに達したその月、シラー教授は著書「根拠なき熱狂」を出版していたが、その教授が開発したもう一つの尺度である暴落予想指数では、向こう6カ月間に大暴落が起きないと考える富裕な投資家の割合が2015年6月以来最高となっている。過去の実績を見ると、最近の2つの弱気相場がそうだったように、同指数は通常、大暴落の前に高水準になっている。同指数は現在、過去2回の弱気相場の場合よりも高い。
調査会社インベスターズ・インテリジェンスが投資アドバイザーを対象に行っている調査にはさらに長い歴史があるが、最近の調査結果では強気派の割合が1987年の「ブラックマンデー」の数カ月前以来の高水準となっていた。
投資家らは、まだ相場が天井に達していないと判断している。これまでのところこの判断は正しかった。だが、彼らは現在、「今回だけは違う」かのように行動し始めているのだ。
