子ども用の「秘密基地」図書館が盛況
兵庫県尼崎市の田能地区に、子どもたちが通う私設図書館「田能文庫」がある。保護司の辰巳秀盛さん(75)が8年前に自宅を改修して開設した図書館で、絵本や児童書など計約1万6千冊が並ぶ。うずたかく積み上げられた本の間で、子どもらは読書をしたり、宿題をしたり、思い思いの時間を過ごす。24日からは新たな取り組みとして、絵本の読み聞かせをスタートさせる。
「おっちゃん、今日も来たで」。にぎやかな声が響く館内は、わずか約11平方メートル。コンテナ倉庫を改造した図書館には、毎日10人以上の子どもたちがひしめき合う。
ここでのルールは二つ。宿題をやること。そして、スマートフォンやゲーム機で遊ばないこと。子どもらは勉強を終えると、お気に入りの本を手に取るか、辰巳さんから囲碁や将棋、花札など昔ながらの遊びを教わる。時にはみんなで外出も。田植え体験やザリガニ釣りなどは人気の定例イベントだ。
「子どもたちの居場所を作ってあげたかった」。辰巳さんが私設図書館の設立を思い立ったのは8年前。毎朝、通学路で見守り活動をしていると、表情の暗い子や登校してこなくなった子らがいるのに気付いた。 「変わった様子があればどんな子にも『大丈夫か』と必ず声を掛ける。おせっかいをやいて、悪いことをしたらきっちり叱る。理想は昔ながらの近所のおっちゃん」
通い始めて1年になる園和北小5年の児童(10)は「狭いけどなんか落ち着く秘密基地みたいな場所。しゃべってもいいし、普通の図書館とは違うんだ」と、友人らと元気に走り回る。
現在は自宅の母屋を改造した中学生向けの第2文庫も開放。第3文庫も計画中だ。24日からは低学年向けに絵本の読み聞かせ教室を始めるといい、辰巳さんは「誰もが気持ちよく過ごせる場所にしたい」と話している。(前川茂之)
